「外国人って普通です」─外国人入居者を受け入れるオーナーの実体験─


「賃貸生活マナー検定」という試験があるのをご存じですか。

外国人の方が、日本で賃貸住宅を借りる支援をする検定試験で、日本での賃貸生活のルールや生活習慣を学ぶことができるものです。多くの大家さんは、外国人に部屋を貸すことに難色を示します。その理由は、商習慣が違っていたり、賃貸契約内容を理解していなかったりする外国人を入居させたがために、さまざまなトラブルが起こるからです。

しかし、日本の生活習慣やマナーをしっかり勉強し、理解した外国人であればどうでしょうか。入居に問題はないはずです。

多くの外国人は自分が希望するお部屋を借りることが難しい状況にあります。だからこそ、外国人を受け入れることができれば、手早く空室をうめることもできるのです。そこで活躍するのが、「賃貸生活マナー検定」なのです。

全6回の連載で、賃貸生活マナー検定協会の鴨打孝之理事に、検定試験の仕組みや魅力、上手な活用方法などをお話してもらいます。

6回目の今回は、所有物件に外国人の入居者を受け入れている廣田裕司オーナーに、鴨打理事長がお話をうかがいます。

▼まず読みたい▼

【1話目:マナー検定に合格した外国人が空室率を下げる起爆剤になります!】

【2話目:入居率アップ! ゴミの正しく出せる外国人入居者を見つける方法】

【3話目:増加する留学生を入居率アップのターゲットに!】

【4話目:「賃貸生活のマナーを知っていること」を外国人も証明したがっています】

【5話目:空室対策のヒントがあります!─物件探しをする外国人の生の声─】

外国人入居者のトラブルは意外と少ない!?

【所有物件に外国人の入居者を受け入れている廣田裕司オーナー】

鴨打:廣田さんは神奈川県の藤沢に物件を多くお持ちだそうですね。何部屋くらいありますか。

廣田さん:13棟91戸です。間取りは1K、1LDK、2LDK、3DKなどで、単身者からファミリーまでさまざまな入居者さんがいらっしゃいます。

鴨打:賃貸経営はいつからやっていますか。

廣田さん:2001年から携わっていますが、本格的に始めたのは2008年に相続してからです。最初はそれほど手をかけなくてもなんとかなる商売なのかなと軽く考えていました。しかし、相続した後にリーマン・ショックが起こり、空室が増えはじめ、そのころから賃貸経営を真剣に考えるようになりました。

鴨打:そのころ、外国人の入居者さんはいましたか。

廣田さん:相続する前は受け入れていたようですが、私が相続したときにはいませんでした。その後も外国人の入居希望者は現れませんでしたが、外国人を受け入れることを拒絶していたわけではないんです。

鴨打:ということは、管理会社さんが躊躇していたということですか。

廣田さん:そうのようでしたね。相続から1年くらいが経過し、空室対策のためにいろいろ調べていてそのことが分かったんです。その後、私は日本人と同じように外国人も受け入れることを管理会社さんに伝えて、仲介をお願いしています。

鴨打:現在、外国人の入居者さんはどのくらいいますか。

廣田さん:フィリピン人、ベトナム人、ロシア人の3人の女性です。3LDKだった部屋をシェアハウスにリノベーションした物件に3人とも住んでいます。みんな近くの大学の留学生です。

鴨打:トラブルはありませんか。

廣田さん:入居してもらう前にルールを作って説明したので、それほど大きなトラブルはいまのところありません。あえて挙げるとするなら、トイレの問題。東南アジアでは、トイレットペーパーをトイレに流さないじゃないですか。だから、使用済みのトイレットペーパーを汚物入れに入れてしまっていたんです。それで、「トイレに流しても大丈夫だよ」と説明をしたら、今度は女性用品まで流して、トイレが詰まってしまって……。この点については、最初に説明したルールから漏れていたんですよね。 

鴨打:なるほど。日本人にとってはあまりにも常識過ぎますから、ルールに入れ忘れてしまったことは理解できます。

廣田さん:そうなんですよ。しかし、それも説明をすれば解決しましたし、それ以外ではそれほど大きなトラブルはいまのところありませんよ。

家賃滞納の怖さを知る外国人は滞納しない!?

鴨打:それにしても、外国人の入居を遠慮しがちなオーナーさんがまだまだ多いなか、廣田さんはなぜ受け入れに積極的なのですか。

廣田さん:実は、仕事上で一時期、外国人とコミュニケーションをとる機会が多くありました。たしかに彼らは、日本人がしないようなことを要求してくることがあります。しかし、そういったことを私は、“大変”というよりも、“考え方が違っておもしろいな”と受け止めています。また、イエスノーがはっきりしている点は、あいまいな日本人より面倒くさくなくてやりやすい。そして、話してみれば普通の人やいい人の方が圧倒的に多い。だから、外国人の受け入れを躊躇するような気持ちはありませんでした。

鴨打:日本人と違うことを言ったりやったりするのは、文化の違いですからね。理解さえしてもらえれば、それほど大きな問題はないはずです。ちなみに、言葉の問題はどう感じていますか。

廣田さん:言葉についても困ることはほとんどないと思います。たとえば、ルールブックを作るとしても、今は無料の翻訳アプリがたくさんあります。それに、さきほどのトイレの問題に対処するための「女性用品を流さないでください」などの英文は、インターネットで検索すれば同じような例文がいくらでも出てきます。ホテルや公共施設でもこういった文言は使っていますからね。

鴨打:そう言われるとそうですね。しかも、日本に住みたいと思う外国人は日本が好きな人が多いですから、日本語も一生懸命勉強していますね。

廣田さん:そうなんですよ。だから、言葉の問題は気にすることはないと思います。また、よく家賃の滞納を心配するオーナーさんも多いと聞きますが、それについてもそれほど心配する必要はないと思います。なぜなら、家賃を滞納するとすぐに部屋から追い出されるという国もあるからです。そういった文化のなかで生活していたら彼らは、家賃を滞納することがどれほど怖いかを知っているようです。

鴨打:「賃貸生活マナー検定」については、どう思われますか。

廣田さん:とてもいい検定だと思います。もしも、このマナー検定がすでに一般的になっていたとしたら、私が経験したトイレのトラブルも起こらなかったでしょうね。

鴨打:ありがとうございます。これから、多くの外国人が住みたい部屋に住めるような日本にしていくために、このマナー検定の周知に力を注ぎたいと思います。

廣田さん:当たり前のことですが、賃貸経営はビジネスですよね。人口や住宅のマーケットがどうなっているのかを考えると、やはり外国人も日本人も同じように受け入れていくべき考えています。賃貸生活マナー検定が早く一般的になるよう、私も力添えさせていただきます。

鴨打:ぜひ、よろしくおねがいいたします。今日はありがとうございました。

p>⇒「賃貸生活マナー検定」詳しくはこちら【1話目:マナー検定に合格した外国人が空室率を下げる起爆剤です!】

一般社団法人 賃貸生活マナー検定協会